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東京セブンローズ(上・下)(文春文庫/井上ひさし)


面白かったです。当たり外れが割と少ない井上ひさしの作品の中で、これは飛びぬけて当たりなんじゃないでしょうか。文章全て正字正かな(戦前まで使われてた字)で書かれてるので、飽きる人は飽きてしまうでしょうが、井上ひさしらしい人間関係の妙味が各所に散りばめられてるので、飽きる前に大概慣れてしまうハズ。何より日記体で書かれてるのが上手いと思いました。ブログなんかでもそうですが、面白い文章を書く人の日記は、別に自分の興味が無いことが書かれてても、普通に楽しく読めちゃうよね。


<あらすじ>
終戦直前からGHQ占領初期までの約一年間、東京根津に住む団扇屋主人が書いた日記。戦前は団扇の材料不足のため、配達屋やガリ版刷りをして過ごすが、イザコザがあって治安維持法に引っかかり、数ヶ月強制労働所へ送られる。戦争が終わり出てきてみると、彼の娘を含めた7人の女性が、GHQの推し進める「日本語ローマ字化計画」を阻止するため、占領軍へ果敢に戦いを挑んでいた…。



あらすじだけだと微妙に地味な印象ですが、そこは井上ひさしクオリティ、上巻収録の戦前の東京描写だけでもグイグイ読ませます。下巻から段々とこの作品のテーマが文章の表面に出てくるんですが、そのテーマとは、ズバリ「言葉」。もう少し具体的に言えば、「日本人にとっての日本語」

日本人が日本人たる所以、それはどこにあるのか。それは、普段は何の意識もせず使っていながらそこに確かに存在する、日本語そのものなんじゃないか。解説にも書いてありますが、言葉があるからこそ笑いやユーモアが生まれてくるわけで、そういう意味では、この作品、最も井上ひさしらしい話なんじゃないかとも思えます。というかこの本の解説、イチイチ論点が的を得ているので、未読の人は本編を先に見ることをオススメします。話の中で提示された問題の回答の一つが、文章全てを使って伏線とされてたりするので、予備知識無しで読んだ方がやっぱり面白いかと。



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